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Jintec Special Dialog9

ジンテック つなタイ-対談

Let’s Move On!‐先に進もう‐

人と人をつなぎ、新しい価値共創から、幸福を追求する。(ジンテック 企業理念)

Jintec Special Dialog “Let’s Move On!-先に進もう-”は、各分野で活躍する識者をゲストにお招きし、当社 代表取締役 柳 秀樹と共に、これからの組織や社会、世界、さらには人々の生き方や幸福について深く掘り下げ、「本当に大切なもの」を浮き彫りにしていく対談シリーズです。

「皆さんと共に、すべての人が幸福な、新しい世界を創造していきたい。」

私たちはそう願っています。Let’s Move On !

Let’s Move On!‐先に進もう‐Dialog 9

株式会社カルティベイト 代表取締役 開 梨香氏
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株式会社ジンテック 代表取締役 柳 秀樹

■ファシリテーター:株式会社ジンテック  CINO 日下智晴
■対談日 2024年12月9日

第9回 Jintec Special Dialogのゲストは、沖縄の有人離島のエコツーリズムを牽引されてきた、株式会社カルティベイト 代表取締役 開 梨香氏。地域が持つ個性を磨き、人と人をつなぐことで、心も暮らしも豊かになっていく。そんな未来を紡いでいくために、今、必要なのは「しなやかさ」だと開氏は語ります。幸せな社会を共創していくために大切にしたいことを当社 代表取締役 柳 秀樹と語りあいました。


「人と人をつなぎ、新しい価値共創から、幸福を追求する。」に込められた思い

日下:開さん、今日はお越しいただきありがとうございます。まずは「人と人をつなぎ、新しい価値共創から、幸福を追求する。」というジンテックの企業理念に込められた思い、またこの理念をおつくりになった背景を柳さんからお聞かせいただけますか。

柳:ジンテックは創業31年※になりますが、私は2008年に事業を引き継いだ2代目社長です。創業当初に数名で始めた事業が当たり一定の事業規模になっていきましたが、利益率が高かったこともあって収益源はそのサービスのみ、一本足打法で戦っていました。実は私はそのサービスの構築を請け負っていた企業で経営企画室長をしていて、そのご縁で創業者にジンテックに誘っていただいたのですが、入社してから2つの問題に気付きました。1つは体調不良によって創業者が引退したがっていること。もう一つはベンチャーとして非常に面白く、しかも利益率の高いサービスをつくって支持されていたので、ちょっと油断しているような空気がただよっていたこと。そんな状態なので2~3年のうちにどんどん業績は下がっていき、創業者が引退気味なので求心力も下がり……。このままではいけないと、社員が心を合わせて進んでいくための企業理念を作ることにしました。もともと企業理念の作成には、コアとなる正社員30人ぐらいがどこかのパートには必ず参加する全員参画型で、みんなで自分ごとにしながら作り上げる形を取りました。それをさらに2020年に刷新したのが現在の企業理念です。刷新プロジェクトも同様に全員参画型で取り組み、ジンテックという会社を未来を見据えて再整理していきました。その中で当社のサービスはBtoBtoC、つまりお客さまはBtoC企業であること、そしてお客さまとその先の顧客をつなぎ合わせることこそが当社のサービスであることを改めて確認し合い、そこから“人と人をつなぎ”という象徴的な言葉が生まれました。また“新しい価値共創”には「お客さまと一緒に新しい価値をつくっていくことができない限り、当社もお客さまも支持されることはない」そんな強い思いが反映されていますが、実はこれは苦い経験からきています。元々当社にはカタログ通販のお客さまが多かったのですが、ご承知のようにカタログ通販業界はかなり厳しい状況で……。でも、もし私たちがもっとお客さまに貢献することができていたら、業界の規模縮小、あるいはお客さま企業の業績の急低下を食い止めることができたのではないかと思うのです。もちろん、微力ではありますが、何かできることがあったのではないかと。ですから「お客さまの繁栄はわれわれの繁栄につながる」ということを忘れず、お客さまと共に新しい価値をつくることにしっかりとフォーカスをしていこうという願いが“新しい価値共創”には込められています。最後の“幸福を追求する”ですが、今でこそ前野先生や矢野和男さんのようなウェルビーイングのトップランナーの方々とも交流があり、幸福を追求すること、ウェルビーイング経営を目指すことが社内でも当たり前になっていますが、作った当初は「宗教っぽいからやめたほうがいい」という声もあがっていました(苦笑)。でも、お客さまのためにと突き進んでいったことは、巡り巡ってわれわれに返ってきて、結局は自分たち自身が幸せになるよねと。また、基本的にはみんな幸せになりたいから働いていて、それはとても大切なことなので、“幸福追求”という言葉を入れることにしたのです。

※ビジネス設立36年、現事業開始31年

日下:ありがとうございます。本当に思いの詰まった企業理念ですよね。


「みんなで一緒に幸せになる」がエコツーリズムの原点

日下:開さんは長い間、沖縄振興のため有人離島の人々をつないでこられました。エコツーリズムについて、どんな思いがありますか。

開:環境庁(現在の環境省)がエコツーリズムを日本に導入し、そのモデル地域となった西表島に文化施設をつくるための事業でエコツーリズムに出会いました。エコツーリズムが目指したのは、環境保全と観光振興の両立を図りながら地域振興を図ること。具体的には、自然、文化、歴史といった地域の宝を掘り起こし、磨いて商品にしていきます。例えば体験プログラムや特産品、そこでしか食べられない郷土料理などが商品になりますが、地域の人たちが身の丈でできて、地域の資源を守りつつ、地域に誇りを持ちながら収入と喜びを得られる。そんな仕組みができたらいいなと思っています。また、観光振興も大事ですから、飛行機、フェリー、バスなどのインフラ事業なども含めて「みんなで一緒に幸せになるにはどうしたらいいのか」を考える必要があります。そういった活動において、主となる観光業界と地域の人々をどうつないでいくのかは大きなポイントになります。地域の人たちといっても農業をしている人、漁業をしている人、自然体験のガイドをしている人とさまざまなので、どのようにすれば彼らがやりがいを感じられるのか、また来島する人がここにしかない感動体験ができるのかを軸に、エコツーリズムに取り組み始めたのがちょうど1996年ぐらいでしょうか。

日下:1996年というとインターネットが広がる少し前ですよね。その頃に人と人をつなぐとすればフェース・トゥ・フェースですか。

開:そうですね。

日下:その辺りのご苦労談などはありますか。

開:離島での取り組みなので、そもそも会いに行くのに労力と時間がかかりますが、離島の方々から本音を話してもらえる関係性を作るのにも多くの時間が必要でした。一緒に食べてとことん呑む。午前3時くらいまで飲みながら何やかんやと話して、朝7時の便で島を出たこともありました(笑)。とにかくなるべく多く会って、話して、関係を作っていきました。今はLINEやZoomなどがあって、とても便利になりましたけれど、当時は本当にアナログでしたね。

日下:柳社長はIT技術が進化した今も、フェース・トゥ・フェースを大事にしていらっしゃいますよね。

柳:社会人になりたての頃、パソコンベースではないものの、さまざまなものをコンピュータ化する仕事をしていたんですが、必ず何かしらのトラブルが起きました。そうなると人と人の関係性でしか超えられないので、謝罪に行って、しっかりと怒られていましたね。そこから自分なりに工夫して、お礼の気持ちをお手紙で伝えたりし始めましたが、そういう気持ちって意外と伝わるものです。メールが当たり前になった今も、ちょっとしたごあいさつやお礼など、今すぐではなくてもいいものは、やはりお手紙をお送りしています。印象に残って、何かあった時に頭に浮かぶ人になれれば「あの人に電話してみよう」となったり、そうやってつながりをつくっていけば、いろいろな方を紹介してくださったりするようにもなっていきます。

開:先日お会いした後にもお手紙を頂いて、とても嬉しかったです。昔は私もお手紙をたくさん持っていて、飛行機で移動する時、あるいはフェリーに乗る時などにささっと書いて出していたことを思い出しました。


人が育っていくことをサポートする

日下:開さんは子どもたちを育てていく事業もされていますよね。

開:子どもはとても分かりやすくて、目が、顔が、光り輝く瞬間があります。面白くなかったら面白くない顔をしたり、他のことをし始めたりとすごく正直。子どもの目が輝くのは何かを発見した時や気付いた時。そしていろいろな人たちと触れ合ったり、交流したりして楽しいと感じた時にぱっと表情が変わるんですよね。その輝きを引き出したくて、子どもたちをいろいろなところに連れていき、体験させたり交流させたりしています。チャレンジをして、知らなかったことを知ったり、できなかったことができるようになったり、普段は関わらないような大人から認められたり褒められたりすると、喜びが弾けて、大きく湧き上がってきます。

日下:すてきですね。柳社長は人材育成についてどのように考えていらっしゃいますか。

柳:いわゆる何かを教えてもらう研修、何かを習得していくスタイルの学びは、どうしてもクリアできる人とできない人が出てきてしまいます。なぜそうなるのかをずっと考えてきて、数年前にやっと気付いたことがありました。それは、まさに今、開さんがおっしゃったことと重なります。人は深いところからの気付きがない限り、いくら教わっても習得できないんですね。仮に1だけを教わっても、それがぴったりマッチして自分なりの気付きになった時には大きな力を発揮するでしょうし、10教わっても本人に刺さらなければ、右から左に流れていっただけになってしまう。私の世代はスキル一辺倒の習得型研修を受けてきましたが、スキルを活かすにも、成人発達理論のような「大人の心の成長」にフォーカスした学びのプロセスは必要です。ですから、最近は本人がいかに気付くかに着目して研修をしています。

日下:本当にそうですよね。価値を共に生み出すという側面では、相手を思いやる気持ち、相手を深く理解していくことが大事だと思いますが、そこに関してはどのような思いがおありですか。

柳:自社、あるいは自分だけが業績が上がればいいという考えは、経営にとって本当にマイナスだということを強く感じています。数字やノルマで縛られた社員は後ろ向きになりプライドをなくし、そして、孤独になります。そうすると、悪い所業をはたらくことすらあり、一つの例ですが、最近も金融機関職員のニュースが世間を騒がせているくらいです。

日下:痛ましい事件がありましたね。

柳:「目の前の数字を達成すれば多くのいいことがある」という文化風土や、そういったレールに社員を乗せてしまうことはナンセンスです。目標を立てること自体は悪くはないですが、数字を追うとどうしても自分の都合を押し付けてしまいがちです。そうすると、結局はお客さまに迷惑をかけることになってしまう。お客さまはジンテックのサービスを入れたいわけではなくて、ジンテックのサービスで何かを解決したいんです。ですから、「しっかりとお客さまの理解を得て、当社のサービスがお客さまに貢献し、その対価としてお支払いをいただけたら、いいことがたくさんある」という流れにすることが大切だと思っています。そうでなければ、長く関係を築き、ビジネスを継続していくことは難しいので。

日下:開さんはどのように事業を進められてきましたか。

開:私たちの仕事は地域づくりと子どもの教育なので、相手との関係に上下関係がありません。また、活動によって安定的な収益を得るというようなことが目的なわけでもありません。ではどうやって人をつなぎ、目標を決めていくかといえば「困っていることは何ですか、それが少しでも良くなるといいですよね」「やりたいことは何ですか、それが実現するといいですよね」ととてもシンプルなんです。特に離島だと皆さん自由人で、立ち位置も、趣味も嗜好も異なりますが、その中で一緒に目指せるものを見つけていき、「県や市町村の事業の目的と照らし合わせたらこんなことができるのだけれど、一緒にやりませんか」と声をかけていく。そんな進め方をしています。だからそれぞれの形で参画ができて、頑張った分だけ成果が得られて、みんなで喜べるんです。私たちの仕事の根底にある願いは「みんなで喜ぶこと」なので、面白くて、やりたくなる仕掛けや刺激をつくって、一人一人の主体的な参画を促すことで「自分たちで考えて、つくって、実現できた!」、「みんなが喜んでくれた!」という達成感を離島の方々に味わってもらっています。この繰り返しです。

日下:自分がやりたいことからスタートしても、実現するためにはみんなの力がいる。それぞれがやりたいことの接点を考えれば、相手の気持ちにもなっていく。そうやって心のつながりや共通の目的ができたら、達成した時には喜びが感じられますよね。


サードプレイス体験が世界を広げ、主体性を育む

日下:今までの活動の中で、どんな時に幸せを感じられましたか。

開:沖縄は有人離島が38あって、そのうち29島に小中学校がありますが、その島々に沖縄本島の小学5年生を学校単位で連れて行くという事業をしてきました。高校がある離島は3島しかなく、それ以外の離島では若い人は中学を卒業すると島外に出ていってしまうため、高齢化が進んでいます。そこへ本島から子どもたちを連れて行くことで、離島の方々はかわいい子どもたちのために頑張り出します。そこに面白い掛け合わせが生まれるんです。例えば離島の方々に簡易宿所の営業許可を取ってもらうことで、子どもたちをホームステイ型の民泊で受け入れできるように進めてきました。身の丈で、家族単位でできて、一家総出で準備をするので家族も仲良くなり、子どもたちと一緒に食事を作って食べ、家業体験などをすることで島に笑い声があふれる。そうすると今度はこういうことをやりたい、ああいうことをやりたいという声があがり、主体的に動き出すので、どんどん地域が活性化していきます。一方で、沖縄は貧困率、離婚率ともに全国一位で、若年出産も非常に多く、母子家庭率も一番高い。そうするとネグレクトや虐待が起こりやすくなり、負の連鎖が続いています。愛情や栄養が足りない家庭環境で育った子たちにとって、離島での民泊体験は外の世界を知る機会になります。県事業なので就学援助を受けている子も参加ができますから、離島へ行くことで初めて温かい家庭を体験する子もいるのです。食卓を囲んで食べるご飯のおいしさや、お手伝いをしたら「ありがとう」、「偉いね、うまいね」と褒められるという体験を通じて子どもたちは変わっていきます。もちろんその他の子たちにも、それぞれの学びがあります。小さい島々は路線バスもなければタクシーもない。スーパーも病院もなければ、高校もありません。無い無いづくしだけれど、みんなで助けあいながら幸せに暮らしている。その生活の中に入るだけでも、子どもたちには変化が起きます。過干渉な家庭の子は親元を離れることに不安がいっぱいですが、島の人たちの優しさの中で、だんだんと「叱られても嬉しい」に心が変化していき、主体性が出てきます。ネグレクトや貧困のなかで育った子、あるいは大人の指示待ちでしか動けなかった子が、自分で考えて行動するようになっていくんです。そこには涙をこらえきれないようなエピソードが本当にたくさんあります。

柳:毎年連れていらしているんですか。

開:そうです。コロナ前のピーク時には23離島、26地域に約3,700人を連れて行きましたが、今年も1,200人程が参加しています。この事業では、沖縄本島の小学5年生を離島に送る一方で、小規模離島の5年生を集めて他島や本島へ連れて行くというものも実施しています。高校がない島々の小学校は全体で十数人という規模が大半で、小さな島だと学年に1人だったり、全校児童が1人だったり。この子たちは子どもの頃から兄弟姉妹のように育ち、近所の人も家族のように見守ってくれるので、新しい友達をつくったり、共同作業をしたり、競争するといった経験が乏しいんです。中学まで同級生が1人、2人しかいない環境で育つと、新しい友達をつくることや、自分の立ち位置を確認して行動することがないので、どうして良いのか分からないのです。ですから、小さな離島の小さな学校の子を一堂に集めて、一緒に3泊4日の体験をするというプログラムもつくっています。友達づくりに始まり、お互いの島の自慢大会、初めて会った子と知らない人のお宅に泊まる民泊体験など、様々な体験や交流をすることで主体性を高めてもらいます。また、自分の島に帰ってからは、自分の島の魅力や他島との違いについて調べ、生まれ育った島の将来像を描き、その実現のために今の自分たちができることを市町村長や議長、教育長に議場で発表してもらいます。これらのプロセスを経ることで、中学卒業後、15歳で親元を離れて島外に進学しても、彼らが自信を持って歩んで行けるように取り組んでいます。

日下:プロセスを踏んで発達していくというのはとても大事なことですよね。先ほど、成人発達理論の話も出ましたが、大人も発達が可能なことがわかっています。柳さんは社員にどのように成長してもらいたいと願っていますか。

柳:まずはお互いが思いやれるようになってほしいですね。1999年のアメリカのビジネスラウンドテーブルの話ではありませんが、相手を思いやりながら、いかにして共に社会を形成していくのかということが、強く問われていると感じています。バブル後ぐらいまでは競争さえしていれば良くて、「思いやる気持ちなんて後から付いてくればいい」というような時代でした。ところが私が社会人になった頃から、過去に先輩たちがやってきたいろいろなことが全く通じなくなっていき、そこから私はそれまでとは全く違うこと、数字を追わない、いかにお客さまに貢献するかといったことをテーマに進んできました。経営だけでなく、大きな目で社会全体をみれば、「仲間や地域社会と協働し、その恩恵をいかにしてみんなで享受していくのか」ということこそが大事なのだと思います。私は「自由で民主的な資本主義は、人類を幸せにするものでなくてはならないし、そうできる道具である」と信じています。多くの人がお金を生みだすことだけにまい進し、大事なことを見失ってしまっているために資本主義の全てが悪いように言われがちですが、経済活動自体は悪いことではありません。お金がお金を生みだすような経済活動を続けていくと確かに格差も生まれます。そんな中で、いま我々のおかれている社会(幸せを追求できるはずの自由で民主的な社会)において、資本主義経済が疲弊をもたらしている現状を「本来目指すべき有り様」にどのようにもっていくかということなども含めて地域社会の未来を考えていくこと。そういった他者や先々も見据えた思いやりこそが、大人の心の発達なのではないかと思っています。


これからの時代の鍵はしなやかさ、レジリエント

日下:ありがとうございます。最後に、これからの時代に求められていくことをお話しいただけますか。

開:今、世界は大きく変化しています。「24時間働けますか」の時代からすれば、今でも既にかなり変わってきていますけれども、ここからさらに激変していきますよね。

日下:そうでしょうね。

開:この先どんな社会になり、どんな経済活動が残り、どんな仕事が新たに生まれてくるのかは分かりませんが、しなやかな考え方、柔らかなつながりが重要になっていくと思います。強制せず、固定せず、互いを認め合い、自分自身をしっかりと表現できる。そういう関係を築ける人たちが集まり、豊かな未来をつくっていく。生き方や求める幸せや描く未来の形はみんな違っても、自分1人でつくれるものではないので、家族や仕事の仲間、地域の仲間と一緒に未来を描いていくような感じになるのではないでしょうか。だからこそ、しなやかに生きることを認め合う力が人にも社会にも育っていくと、もっと生きやすくなり、幸せになれるのではないかと思います。

日下:ありがとうございます。柳さんからもお話しいただけますか。

柳:今、開さんからしなやかという言葉が出ましたが、ジンテックでは極めて近い表現として「レジリエント」という言葉を使っています。今日は昔の話をいろいろとしましたが、われわれの若い頃は3択か4択の中でいかに効率的に、早く答えを見つけ出すかを重視してきました。でも本当にそれでよかったのでしょうか。あるものを読んだり、聞いたりした時に、自分の考えや思いと外れていたしても「なるほど、その考え方もあるのか」と思えること。それがしなやかに生きるコツのように思います。当社がこれからもサステナブルな会社でいるためには、お客さまのニーズや社会の変化をしなやかに感じ、ニュートラルに次なる一手を打っていく必要があります。そうすることで自分も、会社も、そしてお客さまも良くなっていくことでしょう。ですから、しなやかさ=レジリエントを存分に発揮した経営をしていきたいと思っています。

日下:しなやかさ、レジリエントがお二人の未来に向けての大切なキーワードであることがよく分かりました。今日は本当にありがとうございました。


【対談パートナー】
開(比嘉)梨香 氏
株式会社カルティベイト代表取締役
沖縄国際大学後援会長

琉球大学法文学部在学時に放送局でのアシスタントディレクターや子どもたちの音楽イベントの企画・制作に携わる。設立時から参画した日本エコツーリズム協会では理事として沖縄でのエコツーリズムの普及啓発を担った。平成4年に有限会社開(現:株式会社カルティベイト)設立。以来、行政からの委託事業で地域の宝を活かした観光振興・地域振興・人材の育成に取り組む。内閣府沖縄振興審議会委員・専門委員、沖縄観光コンベンションビューロー理事兼国内事業委員長、沖縄県教育委員長、沖縄県公安委員長を歴任。沖縄海邦銀行では社外取締役を務めた。

【ファシリテーター】
日下 智晴 氏
株式会社ジンテック CINO

1984年神戸大経営卒、広島銀行入行。支店勤務後、資金証券部で債券ディーリングを担当。その後5年間の法人営業を経て97年総合企画部。事業の再構築や新規開始、取引先の事業再生、資本調達、M&A、IRなどを幅広く担当。融資企画部長に転じ、事業性評価手法を確立した後、大阪支店長、リスク統括部長を歴任して広島銀行を退職。15年11月金融庁に入庁し、初代地域金融企画室長。
金融仲介機能の改善や地域金融の改革に取り組み、21年9月金融庁を定年退職。21年10月より日下企業経営相談所を再興、代表就任。また、ジンテックCINOにも就任。

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